秋彼岸の日、娘とのLINEでのやりとりである。
「お父さん、今日は忙しいの?」
「いや、ヒマだから、相談事があるんだったら、どこかで会おうか?」
「いや、いいよ。今日はお母さんのお墓参りに行くから」
「そうか、じゃあ、行って来なさい」
最初は、娘が祖母と二人で母親の墓参りに行くのだとしか思わなかった。
しかし、ひょっとすると、娘は私にも墓参りに行ってほしいと願っていて、それが言えなかったのではないかと推理するようになった。
娘は、母親、つまり私の元の妻が亡くなったとき、私に遠慮したのか周囲に配慮したのか「お父さんはお葬式に来なくてもいいよ」という対応をした。
今だに、父と母の離婚を過度に意識しているのかもしれなかった。
夜になり、私は娘に「来年はお父さんも連れて行って」と頼むことにした。