木々の緑
木は迷わず悩まない。 ニル・アドミラリ(無表情・無関心)とラテン語で言うほど冷たく覚めているのではなく、葉を茂らせ、陽光を浴びて喜びながら、嵐にも平然と耐える。 しなやかに受け流す。葉の間、小枝の間を嵐が抜けるにまかせる。 木はそういう調和的な生きかたの師匠である。(池澤 夏樹)
銀河系宇宙の中の人類
いずれ銀河系宇宙が消滅することは自明の理であり、人間の死も自明だと言いたいならば、銀河系宇宙とともに死ぬよ、と言えばいい。あとは個々の人間のことで、一般性としていうことはできない。いくら科学が発達しても、銀河系宇宙がある限り生きていくけれど、それ以外は、個々の人間は鎖のよう...