白い花戦後七十年、私はある女性の父親の生涯に思いを馳せた。 ──その父親は御前会議にまで列席したエリート軍人だったが、戦後は公職を辞して故郷に帰り、戦場に散った兵士たちを弔い、慚愧の涙を流す日々が続いたという。(その転身は、私にはいたましくも尊いものに思われた。)...
ゆく夏を・・・例年なら、晩夏の今頃は、ゆく夏を惜しむ感傷的な気分になるものだが、今年ばかりは異常気象のせいなのか、時代がざわついているせいなのか、多事多難の感慨しか持てない。せめて、詩の引用で感傷の劣化を防ぎたい。 夕日は とりかえしがつかない思いを 遠い橋にだけ...